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海と少女と電波な世界 ep9

 どれくらい歩いたろうか。
 な~んて意味ありげに話を始めてみたが、エイブラハムを出てきたのはついさっきのことであり、今さくらと2人で歩いている道も勝手知ったるいつもの市場への道だ。
 そう、市場までの道はよく知っている。
 問題はその先。
 市場からさらに先には”港”があるのだが、今まで特に用がなかったのであまり赴いたことがない。
 ロンドンと言えばイングランドの首都であり、その玄関口であるこの港はそれはもうものすごい活気と広さである。
 1人で来たら完全に迷子になる自信が持てるくらいに。
 市場も結構な広さと港に負けない活気あふれた場所ではあったが、本日は休日であり閑散としているだろう。
 先ほどからすれ違う人影の少なさでそれをなんとなく感じる。
 おかげで隣を歩くさくらとの会話がスムーズに行える。
 内容は全然スムーズじゃないんだけれども。

「・・・目が覚めたら、船長室のベットの上だったのよね~。クルー達もアタシを普通に船長って呼んでたのよ。そしてさらに不思議なんだけど・・・」

 目をつぶって腕組をし、話を続けるさくら。

「ワタシ自身自分が船長だってわかってたのよ」

「へ~」

 っと思わず普通に返答する俺。
 もちろん理解などしていない。さくらの言葉は左の耳から右の耳にきれいに通り抜けた。
 そして5秒後。

「へっ?」

 すっとんきょうな声をあげたのは俺だった。
 まったく意味がわからない。
 みなさんもそうでしょ?
 と、画面の向こう側の誰かに助けを求めてみた。って画面って何?

 パチン!

 訳のわからない事を考えていると、突然目の前で音が鳴る。
 さくらが俺に”猫騙し”をしていた。
 いやまあ、本当に猫騙しをしたいわけじゃなく、ボーッとしている俺をこちらの世界へ呼び戻す為にやったんだろうけど。

「アタシの話、聞いてるの?」

 腰に手をやり、こちらを覗き込んでくるさくら。
 だから顔を近づけるなって。照れるから。これは心の言葉。
 そのまま、まだ無反応でいると、目の前の顔が曇る。

「そっか、とーるは違うのね・・・」

 ん? 何がだ?
 やっとこっちの世界に戻ってきた自分は、さくらの言葉を理解しようとする。

「何が違うって?」

「ねぇ、とーるは流れ着いたときの記憶ってある?」

 記憶、記憶かぁ。
 
「俺は、気がついたら酒場のベットの上だった。それ以前の記憶は元の世界のものだな」

 そう答えると、さくらが頭を抱えて何かを考えている。若干悔しそうにしながら。

「う~ん、そういう記憶じゃなくて、どう言えばいいのかなぁ」

 そのまま髪の毛をクシャクシャッとかきむしるさくら。
 金田一のおじいちゃんの方? これ、わからない人はスルーでどうぞ。

「アタシが船長としての記憶があったと同じで、とーるには酒場で働いている記憶はあったの?」

 ああ、そういうことか、やっと理解した。

「いや。俺は何の記憶も持ってなかったな」

「・・・そう。どうやら記憶の持ち方にも色々ありそうね」

 ついでだから話しておくわ、そう言ってさくらはまた話を始めた。




続く


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ジャンル : 小説・文学

海と少女と電波な世界 ep8

 俺の予想の斜め上を飛んだ言葉。

「気がついたら船長だった」

 ここ一日でだいぶスルー力が身に付いたと思っていたが、さすがにこれはスルーできなかった。

「それってどういう意味?」

 心に思うことも無いし、素直に直球勝負だ。
 わからないことなら聞けばいい。
 百聞は一見にしかず。
 旅の恥は掻き捨て。
 うん、ごめん。少々話しがずれてきたようだ。
 ええ、動揺してますとも。

「えっと、イマイチ理解できないんだが、色々なことをはしょってないか?」

 拾ってくれた船長がすでに引退を考えてて、その座をさくらに譲ったとか、実はスゲー金持ちで船を船員ごと買ったとか、その辺りの話をし忘れていませんか、さくらさん?
 つってもさくらも流れ者らしいしなぁ。まだ100%その設定を信じたわけじゃないし、さくらが何年前に流れ着いたのがわからないから断言はできないが、その船で長いことお世話になってきたなら船長の座を譲られた、という話は信じられなくも無い。
 唯一引っかかるとしたら、彼女が若すぎることか。
 律儀にも制服の胸の名札には、堂々と『2-B 早乙女』と掘られたプレートが燦然と輝いている。
 2-Bということは俺と同い年ってことだ。
 中学生じゃなければ・・・。
 って、それはありえないか。

「はしょっては無いわよ。それがすべて」

 だから言っても信じないでしょ、的な表情を浮かべるさくら。

「本当に気がついたら船長だったのよ。この世界に飛んで、気がついたら船長と呼ばれていたわ。」

 ますますわからない。現代国語が苦手なのは認めるが、たとえ成績が良かったとしても理解はできない気がする。

「もうちょっと詳しく説明してくれないか? なんだか頭のほうが全然ついていかないんだが」

 それを聞いたさくらは、両手の平を天に向け、本日2回目のポーズをとる。
 あれ? 昨日だったかな?
 少し長くなるけどいいかしら? いいわよね。
 相変わらずの問答無用で話を続けるさくら。

「このトランシーバーはどこで手に入れたと思う?」

 だから、それは俺が1番知りたい。
 と、ちゃちゃを入れたいところだが、やっぱりスルーことにした。
 今回のさくらは少々マジなようだったからだ。

「う~ん、まずはあっちを話したほうがいいかな」

 本題を始める前に話しを変える少女、早乙女さくら。
 これが伝家の宝刀でないことを切に願う。

「とある海域にはね、船や人が消えるポイントがあるのよ」

「消えるって?」

「文字通りよ。ある日突然消えるの」

 地理で習った、バミューダトライアングルみたいなもんか?
 あれ? 世界史だったっけ?
 現国意外の成績も、コフンコフンッ

「で、そこはロスト・ポイントって呼ばれてるわ」

 ありがちなネーミングだな。
 ・・・名付け親の顔が見てみたい。
 ある1人の人物だけが、鏡を見れば確認できるのだがそれは関係ない話、ということにしよう。うんうん。

「ロスト・ポイント近くを航海していると、クルーが消えたり、船そのものが消えることがよくあるの。普通の人たちはまず近づかない。でも、そこへあえあて飛び込む連中もいる」

 そこまで話して、さくらはまた効果音付きの指差し確認をしてくる。

「それがアタシたち、トレジャーハンターなのよ!」

 そして本日2回目のふんぞり返り。
 コイツはいちいちポーズをつけなきゃ話せないのか。
 お気の毒に。

「色々聞きたいことはあるのだが、まずは1つづつ聞かせてくれ。飛び込む、ってのはどの程度までなんだ? さすがにこっちが消えちゃシャレにならないんだろ?」

「そうね。ポイントのど真ん中に突っ込んで行くのはタダのアホのすること。表現的に飛び込むって言ったけど、文字通り飛び込むっていうよりは外周を回る、といったほうがいいかしら」

「んじゃ、2つ目の質問。そのロスト・ポイントとやらに行くメリットは?」

 トレジャーハンターって言葉で多少の見当はついているのだが、あえて質問してみた。

「ロスト・ポイントってのはね、全てを消し去るだけじゃないのよ。何かを生み出すことがあるの」

 そこまで聞いて理解した。
 俺もさくらも、トランシーバーもそこから流れてきたんだ。
 それを総じて”お宝”と「呼ぶのだろう。
 ここまで聞いて、まだ肝心なことを聞いていないことを思い出した。

「で、気がついたら船長だったってのはどういう意味だ?」

 そのさくらの回答を聞いた俺は、『え~っと、そんなんでいいの?』的な感情だった。




続く


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